2021年3月7日 クレオ大阪南 離婚セミナー回答
離婚セミナーにご参加いただき,ありがとうございました。
質問票に記載された内容の範囲でお答えさせていただきます。具体的にお困りの方は,ぜひ弁護士へ個別にご相談された方がいいかと思います。
今回のセミナーが,皆様の今後の明るい未来の,少しでも手助けになれば幸いです。
令和3年(2021年)3月 弁護士 松井圭子
作成:2021年3月27日
【離婚自体・別居】
・今は子供が小さい(小学生)なので,すぐに離婚は考えていませんが,今後離婚したいと思っています。今からやっておけば有利であるということはありますか?
⇒離婚したくないと言われてしまったときが一番ご自身の希望通りに物事が進まない場面になりますので,離婚を拒絶されたときにどうするかは考えておいた方がいいと思います。
・夫の介護を放棄したら離婚事由になりますか?
⇒悪意の遺棄にあたる可能性があり,有責配偶者として離婚請求が認められない可能性がないとはいえません。
・夫の介護等をして,妻が精神的につらいという場合,離婚できますか?
⇒それだけでは離婚事由にはならないと考えられます。
・離婚せずに別居の状態で市営住宅に入ることはできますか?
⇒直接,市に確認してみてください。
・子供の学校のことを考えると,夫と距離的に近くでの別居になってしまいそうですが,そのような別居でもいいのでしょうか?
⇒DVがあった場合には逃げる必要があるので遠くに行った方がいいと思いますが,そのような事情がないのであれば,近くても問題ないと思います。
・別居を始めるのに,子供に負担のかからない時期はいつだと思いますか?
⇒お子さんの年齢や性格等によるので,具体的には頼れる家族や友人,弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
・離婚後に夫(元夫)は海外に行く予定ですが,それまでに私(妻)がしておくべきことはありますか?
⇒離婚後に何か請求するものがあるのであれば準備が必要なこともあるかもしれないですが,何も請求する予定がないのであれば特に何もする必要がないと思います。具体的にどのような請求ができるかも含めて弁護士に相談されてはいかがでしょうか。
・不貞の発覚から数年経った場合,離婚調停で無効になったりするのですか?
⇒そもそも離婚調停はあくまで話し合いなので,無効になるという話は当たらないですが,不貞からしばらく時間が経つと(だいたい5年以上)離婚の直接の原因かどうかは争われることはあるかもしれません。
・ひとり親サポートセンターに公正証書等の相談に行った際,実家に戻れるならすぐに引っ越してくださいと言われましたが,色々決まってから引っ越す方がいいですか?
⇒別居の時期は個別具体的なケースによりますので,弁護士に相談された方がいいと思います。
・現在同居中ですが,夫に関すること(洗濯や料理など)は一切やっていません。離婚に際して夫から指摘されることはありますか?
⇒あると思います。
【調停等手続き】
・婚姻費用を事前に合意していたら,調停ではなく裁判になるのでしょうか?
⇒婚姻費用を事前に合意していたとしても,調停を起こすことは可能です。
・調停中に夫が事故や急病等で期日に来られなくなる場合は,調停が終了してしまうのでしょうか?
⇒長期間出席できない場合には取り下げるように言われることもあると思いますし,不成立になることもあると思いますが,一時的なものであれば次回期日を入れてもらえると思います。ケースバイケースなので,実際には家裁の担当係にお尋ねください。
・調停が一度終了しても再度調停を起こすことはできますか?
⇒可能です。
・マイナカードを作ると23条照会されると自分の情報も夫側にわかってしまうのでしょうか?
⇒どのような情報を知られたくないのかわかりませんが,マイナカードを作ることでただちに情報がわかるということはありません。
【婚姻費用・養育費】
・算定表上3~4万円の養育費ですが,それでは生活できないので,月15万円くらいもらいたいのですが,もらえますでしょうか?夫の収入は年収300万円くらいで,今でも週に5000円くらいしかもらえず,ないから無理だと言われています。
⇒原則としては算定表の金額になりますし,旦那さんの収入や任意で支払ってくれないことから考えると,なかなか難しいかと思います。ご自身の収入を増やすことも検討されてみることも必要かと思います。
・夫に借金がある場合,婚費の算定において考慮されて減額されてしまうことはありますか?夫の両親に減らされた分を請求することはできますか?
⇒婚費と借入金の弁済で借入金が優先するとは考えられていないので,原則としては減額されるということはありませんが,借金の原因等にもよるので,ケースバイケースです。夫の両親に請求することは基本的にはできません。
【財産分与】
(財産分与自体)
・協議離婚の場合には,財産は隠しておいて財産分与しなくてもいいのですか?
⇒協議離婚の場合でも,あとから(離婚から2年以内は)財産分与を請求されることはあるので,協議離婚だから財産分与しなくてもいいということにはなりません。ただ,財産分与するかしないかも双方の合意によるので,財産分与しないという合意は双方が納得していれば可能かと思います。
・夫には預貯金等財産がなく,住宅ローンが残っている反面,私(妻)には実家から引き継ぐ預貯金があります。財産分与は請求しない方がいいですか?
⇒特有財産になるものがあると考えられますので,財産分与を請求しないほうがいいとはいえませんが,具体的には弁護士に相談される方がいいと思います。
・こちら側の預貯金を開示しなくてもいい方法はありませんか?
⇒こちらから財産分与の請求をするのであれば原則としては開示する必要があります。
(預貯金・現金)
・婚姻前からの預金はどのように証明するのでしょうか?
⇒基本的には,婚姻前の残高と現在の残高を比較すれば,婚姻中にいくら増えたか,共有財産としていくらになるのかがわかるのではないかと思います。
・タンス預金は財産分与の際に開示する必要はないでしょうか?」
⇒タンス預金でも財産分与の対象となるので,相手方から求められれば開示をする必要がある場合があります。
・夫に知られていない通帳は隠しておけば,財産分与の対象になりませんか?
⇒財産分与の対象財産にはなりますが,相手方から請求されなければ結果的に財産分与しなくてもいいということがあるかもしれません。
・浪費家の夫に対し,妻がパート代をコツコツ貯金している場合,パート代を貯めた分も財産分与の対象になりますか?
⇒なります。
・家にあるまとまった現金は財産分与の対象ですか?
⇒共有財産に該当するのであれば,財産分与の対象です。
(不動産)
・妻が実家の相続で得た土地や建物は財産分与の対象になりますか?
⇒特有財産ですので,なりません。
・結婚25年以上になれば家の名義を夫から妻に変更することができると知り,夫も妻名義にしてもよいとしているが,離婚前に名義を変更するべきか,手順を聞きたい。
⇒結婚20年以上の夫婦間の居住用不動産の贈与税の配偶者控除のことをおっしゃっているのか,よくわかりませんが,それであれば夫婦間の税金控除の話ですので,離婚後は適用されないのではないかと思います。財産分与として考えるのであれば別だと思いますが,どちらにしろ,弁護士や税理士に相談するべきだと思います。
・住宅ローンの連帯保証人になっています。このまま残ローンを引き継ぐかどうか迷っています。どうするのが得ですか?
⇒住宅がオーバーローンなのか,夫が支払い続けるのかどうか,月々の支払い金額と双方の収入,夫の希望等事情によるので,一度弁護士に相談される方がいいと思います。
・自宅を財産分与する場合,価格はどのように決めるのですか?
⇒セミナー中にご説明させていただいたとおりです。
・夫が戸建てかマンションを購入しようとしています。私(妻)は離婚も視野に入れているので購入したくないとは思っているのですが,購入するとしたら名義などはどのようにすれば私と息子にとって有利になりますか?
⇒住宅を購入すると夫が離婚したくないと言い出した場合に,離婚できなくなる可能性があるので,十分に注意する必要があると思います。また,キャッシュで一括でないと,ローンを組むというのは財産分与の観点からは好ましくないと思いますし,ご自身が連帯保証人等になることは避けるべきだと思います。別件で弁護士の先生に相談されているのであれば,その先生にご相談されてみてはいかがでしょうか。
(退職金)
・退職金の仮差押をするために,お金が必要というのは本当ですか?
⇒はい,差し押さえるものの1割~2割程度,担保として最初に収める必要があります。仮差押には対象財産に順番などもあり,実際に検討されているのであれば,弁護士に相談することをおすすめします。
・退職金はどうやって分割するのですか?
⇒セミナー中にご説明させていただいたとおりです。
(その他)
・私の亡父から一部援助を受けて,婚姻期間中に車を買いました。財産分与の対象になりますか?
⇒一部を特有財産であると主張することもできると思います。
・給料から会社の持ち株を購入することになっていて,自動的に給料から引かれていますが,その持ち株を処分して夫が費消してしまっています。財産分与のときに考慮してもらえるのですか?
⇒浪費かどうかは判断が難しいですし,ないものを分けることはできないで,早期に別居する必要があるのではないかと考えられます。
・夫が実妹の借金の連帯保証人になっています。財産分与において関係しますか?
⇒関係しません。
(債務)
・相手方の借金は,財産分与のときにどのように関係しますか?婚姻期間中に弁済すると財産分与に影響しますか?
⇒財産分与に関係するかは,借金がどのような理由によるのか等具体的な事情によるので,一括返済する前に弁護士に相談されることをおすすめします。
・10年以上前に夫の借金を私の退職金で弁済しました。その分を返してもらうことはできますか?
⇒夫の借金の原因にもよりますが,時効の問題もあるので難しいと思います。
(年金分割)
・公的年金も私的年金も半分もらえる権利はあると聞いたのですが,どうなのですか?
⇒公的年金については基礎年金部分は年金分割の対象にはなりません。私的年金については,「年金」と名前がついていてもその中身によりますが,財産分与の対象になると考えられます。
・夫が海外に行ってしまった場合に,離婚後,年金の半分はどうやって私(元妻)に振り込まれるのですか?
⇒年金分割というのは夫に振り込まれたものを半分請求するという制度ではありません。具体的なことは年金事務所で聞かれるのが一番確実です。
・年金の分割の申し出はいつするのですか?
⇒年金分割は,公正証書や調停調書等が必要で,具体的には年金事務所で手続きをしますが,どちらにしても離婚後しかできません。
【慰謝料】
・不貞の事実があってから5年以上経ってから離婚となった場合,離婚時に慰謝料請求はできないのでしょうか?
⇒不貞慰謝料と離婚に伴う慰謝料は違うので,時効の観点からは,請求は可能です。
・不貞相手の女性が既婚者であると知らなかったと主張してきた場合(夫も不貞相手の女性には独身だったと嘘を言ったと言っています),既婚者であると知っていたと証明するのは私(妻)側ですか,相手方女性側ですか?
⇒妻側です。
・夫の携帯を勝手に見てLINEをチェックする行為はプライバシーの侵害であるとして夫から訴えられることはありますか?そのような証拠でも離婚事由の不貞を認定してもらえますか?
⇒厳密に言うと問題にならないわけではないですが,証拠としては使うことができます。
・モラハラで慰謝料はもらえますか?
⇒ケースバイケースですが,もらえないか,もらえてもかなり低額だと考えて置かれる方がいいかと思います。
・慰謝料を払えないと言われた場合,夫の両親に払ってもらうことはできますか?
⇒夫の両親が任意で払うと言ってくれれば払ってもらってもいいと思いますが,払わないと言っている両親に対して支払いを強制することはできません。
【子に関すること】
・子が成人であっても子の氏の変更は家庭裁判所の審判が必要ですか?
⇒子が自分で審判申立をすることが必要です。
【公正証書】
・費用がかかるので公正証書は作る予定はないのですが…
⇒公正証書の作成自体はそれほど費用がかかるものではない。内容をどうするかによって手数料は変わるが,一度具体的に調べてみられたいいのではないかと思います。
※質問票に,「公正証書は費用がかかるので」という前提で質問を書かれているものが複数
ありました。しかし,公正証書の作成費用は皆様が思っているよりも高くないと思います。(内容にもよりますが,数万円で済むことは多いです。)不払いがあったときに,改めて調停を起こすことを考えると,調停の手間や時間,調停では算定表にしたがって養育費の金額が下がる可能性があること等を総合的に考えると,双方が納得した養育費の金額があるのであれば,公正証書を作成しておくというのも得策だと思いますので,ご検討いただければと思います。公正証書を作成した方がいいのか具体的に迷っておられる方がいらっしゃいましたら,一度ご相談ください。
・公正証書で養育費の金額を高くすると手数料も高くなると聞いたのですが,いくらくらいになるのですか?養育費ではなく,他の名目にすれば手数料は高くならないのですか?
⇒具体的な手数料の金額は公証役場にお尋ねください。ただ,名目を変えたからといって手数料が安くなるという仕組みにはなっていないので,ご確認ください。
・公正証書を作成せずに,覚書等を作成にしたほうが手数料がかからないので得ですか?
⇒公正証書を作成するメリットとデメリットを考えて,ご検討いただくのがいいのではないかと思います。
・公正証書は誰が作成しにいきますか?双方で決定してから作成に行きますか?
⇒公証役場と事前に相談が必要ですから,一度直接公証役場へお問い合わせいただくのがいいのではないでしょうか。
【弁護士】
・弁護士を調停の途中で変更すると不利になりますか?
⇒調停は,あくまで話し合いの手続きで,裁判所が判断を下すわけではないので,有利不利というのは当たらないと思います。弁護士を途中で変更することは,事情により致し方ない部分もあるかもしれませんが,最後までお付き合いできるような弁護士さんを最初に見つけられるといいですね。
・不貞発覚から1年以上経っていますが,夫に慰謝料請求をすることは可能ですか?現在不倫相手に対して弁護士の先生に相談し,慰謝料を請求中です。
⇒その担当弁護士の先生に相談された方がいいかなと思います。
以上です。
※追加で聞きたい事があるという場合は,法律相談のご予約をお願いいたします。
<ココナラ法律相談>https://legal.coconala.com/lawyers/669
土日祝は電話受付をしておりません。また、平日でも電話対応の事務局員が少ないため、できる限りココナラ法律相談の「メールで面談予約」ボタンからご相談者の情報及び相談内容をご入力いただければ助かります。
法律相談料は1時間以内2万2000円(税込)です。初回相談及び継続相談は同料金です。