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2019年3月24日 クレオ大阪西 離婚セミナー Q&A集
離婚!後悔と誤算は少なめに ~知っておきたい法知識~
2019年(平成31年)4月4日 公開
この度は,クレオ大阪西の離婚セミナーにご参加いただきましてありがとうございました。ご提出いただいた質問票に対する回答を掲載させていただきます。
※あくまで質問票に記載された事実のみで判断した上での回答です。事実によっては結論が変わりえますのでご注意ください。
※弁護士によって回答が異なる場合があります。
※ご自身のケースは必ず弁護士に相談してください。
【離婚全般】
Q. 離婚したいが,以下の理由での離婚請求は認められますか。
① 性格の不一致
② モラハラ等で精神的苦痛により,心身を壊してしまった場合
③ 夫が宗教/マルチ商法に洗脳されてしまった場合
A. 離婚請求が認められるのは,民法770条1項各号に規定されている場合のみ。
婚姻を継続し難い重大な事由に該当する場合には認められるが,①~③の場合に必ず認められるとはいえないため,具体的には弁護士に相談すべき。
Q. 住民票はずっと夫と同居していることになっているが,実際は別々に住んでいます。別居として認められますか。
A. 実際に一緒に住んでいないことが別居として認められる。住民票は関係ない。
Q. 別居を何度か繰り返していますが,別居期間とは通算でしょうか。夫婦が破綻していると認められるのは結婚期間に対して,何年程度別居していればいいのでしょうか。
A. 一旦別居を解消して元の生活に戻っているのであれば,その後の別居開始から計算されることが多い。5年別居していたらと言われることもあるが,それより短い期間で認められた事例もあり,必ずしも何年別居したら絶対離婚が認められるというのはなく,あくまで「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するかどうかが判断される。
Q. 離婚したくないが,夫から離婚を求められている。夫の離婚請求は認められるのか。
A. 離婚請求が認められるのは,民法770条1項各号に規定されている場合のみ。夫が一方的に離婚をしたいと思っても簡単には離婚ができない。具体的にはケースバイケースなのでなんとも言えない。
Q. 別居しているが,このまま何年も別居することは可能か。離婚されてしまうと,経済的に困窮してしまいます。
A. 相手方が有責配偶者でなければ,数年の別居でも離婚請求が認められる可能性はある。ただ,経済的に困窮するような状況であれば,離婚請求が認められないこともあるが,ケースバイケース。
Q. 離婚したいと思うが,離婚後の1人の生活を考えると不安があり,離婚すべきかどうか迷います。どうしたらいいでしょうか。
A. 迷いがあるうちは離婚しない方がいい。経済的に自立できるかどうかも重要なポイントになる。ご自身の仕事・収入等にかんがみて,一人で生活をできるかどうかも検討すべき。
Q. 冠婚葬祭等を含め,夫の家族と関わることなく別居生活を続けることは可能ですか。
A. 冠婚葬祭等については強制されるものではないので,別居を続けることは可能。
【調停】
Q. 財産分与について夫から一定の条件を提示されていますが,調停を起こすと今の条件よりも受け取りが減るからこれで了解しろと言われている。どうすればいいか。
A. 実際に2分の1以上の提案がされているのか疑問。少なくとも客観的資料をもって弁護士に相談して判断してもらうべき。
【慰謝料請求】
Q. SNSは証拠になりますか。また,録音をしたいと思うが,盗聴は犯罪になるのでしょうか。
A. 何を証明するかによるが,証拠になりえる。相手方と自分との会話を録音するのは問題ない。どこかに侵入して盗聴器をしかけるなどする行為は違法であるので注意すべき。
Q. モラハラやDVの証拠はどんなものが必要ですか。子供が証言すると言ってくれているのですが,何度も思い出させるのは私としても嫌なので一回で証拠になる方法はありませんか。
A. モラハラを証明することによって,何を求めるのかによる。離婚を求めるのか,慰謝料を求めるのか,慰謝料を求めるとしていくら請求したいのかによって,どの程度証拠が必要かが違ってくる。どのような請求をするかから,弁護士に相談してみてはどうか。子供の証言が証拠になるかどうかは,子供の年齢等による。なお,裁判所での証人尋問は1回で証拠になるし,陳述書の作成・提出という方法もある。また,ご自身の供述も証拠になり,それで証明十分な場合もある。
Q. 不貞相手の女性に慰謝料請求したいが,夫が代わりに支払うのは避けたいです。どうしたらいいですか。
A. 女性に対して,夫に対する求償権を放棄させることは可能。ただ,事実上夫が女性の代わりに払うことを防ぐことは難しい。
Q. 夫の不貞行為について夫から300万円の慰謝料をもらう口約束をしました。一部は既にもらいましたが,夫の不貞相手の女性に対して請求できますか。
A. 請求は可能であるが,一部(その金額は不明であるが)受領済みであって,その事実を不貞相手が知っているのであれば,争われる可能性は大いにある。
Q. 夫の不貞相手が同じ地域に住んでいるのですが,その地域から出て行ってもらうことはできますか。同じ会社につとめている場合,女性に仕事をやめてもらうことはできますか。
A. できません。
【婚費】
Q. 共働きのため,双方で一定金額を生活費として出しているので,夫の収入がはっきりわからない。夫の収入を確認する方法はありますか。
A. 同居中であれば,一度市役所で課税証明書をとってみてはどうか。
Q. 夫の事業の専従者として給与をもらっていることになっていますが,実際には支払われていません。この場合,婚費の算定には書類上の給与となってしまうのでしょうか。
A. 実際に支払われていないのであれば,それは実際の収入とはならないが,調停では,ご自身でそのことをきちんと主張していく必要がある。
Q. 算定表以上の金額を夫に約束させる方法はありますか。
A. 一応算定表はあるが,調停でも個別具体的な事情によって金額が定まる。各家庭それぞれの事情があると思うので,有利な事情がないか,弁護士に相談してみるといいのではないか。
Q. 別居の際の引っ越し費用を夫に請求することはできますか。
A. 夫の特有財産から出させることは難しいと思うので,共有財産からその分の貯蓄をご自身で貯められる方がいいのではないか。
【財産分与】
Q. 夫が全ての財産を管理しているので,給与,預貯金,株等,一切わかりません。どうしたらいいですか。
A. 銀行や証券会社等の郵便物によっても何ら手がかりがない場合には,財産分与請求は難しいと言わざるを得ない。ただ,23条照会,調査嘱託の申立て等で調査可能な場合もある。
Q. 年金分割についてのみ折り合いがついていないのですが,それ以外の部分で合意できているのであれば,公正証書を作成するべきですか。
A. 年金分割は後から請求可能であるため,先に年金分割以外は合意して公正証書を作成することも可能である。
Q. 年金分割について詳しく知りたい。
A. 年金の種類によっても違うので,年金事務所等に行ってご自身でお尋ねください。
Q. 不妊治療費用を夫と妻で3対2くらいの割合で負担していました。離婚したいなら治療費を返せと言われているが,返さないといけないのでしょうか。
A. そもそも,婚姻期間中の支出であれば,通常は共有財産からの支出であり,返還不要である。特有財産からの支出であったとしても夫も不妊治療に同意していたのであれば,基本的に返還する必要はない。
【親権】
Q. 親権について,家裁の調査官の調査はどのようなものですか。
A. 家庭訪問・面談,学校訪問・先生との面談,子どもとの面談などが行われる。
【離婚裁判】
Q. 離婚したくて,裁判をしていますが,認められなければ離婚できないのでしょうか。
A. そうである。
【弁護士】
Q. 離婚の前に夫とお金の話をしようと思っているのですが,どの段階で弁護士さんに依頼すればいいですか。
A. 弁護士に依頼すべきかどうかはケースバイケースなので,まずはどの段階であっても離婚しようと思っているのであれば,相談には行くべき。
<担当弁護士からのメッセージ>
この度は,セミナーにご参加いただき,またご質問も多数頂戴し,ありがとうございました。時間の関係上,質問票形式にさせていただいたため,ご質問の趣旨と回答が合っていないこともあるかと思いますが,何卒ご容赦いただければと思います。
Web上での回答は,どうしても一般的な回答に終始せざるをえません。例えば,「離婚したくないのですが,私の場合は離婚認められますか。」と質問されると,一般的には離婚請求が認められてしまうのであれば,そのように回答せざるをえません。
ただ,弁護士はそのような状況があったとしても,ご依頼主の方に有利な事情はないか,なるべく離婚請求が認められないように主張・立証(証明)するように尽力するのが仕事です。ここでの回答はあくまでも一般的なものです。離婚したくないのに離婚を求められているだとか,養育費をいくら欲しいんだなど,こうして欲しいというご希望がある場合には,ぜひ弁護士に相談されることをおすすめします。
離婚は人生において大きな節目となります。このセミナーが離婚の準備の一つとして,ご参加いただいた方のお力になれたのであれば幸いです。
個別のご相談は随時受け付けておりますので,事務所までお電話で(06—6773-3838)ご連絡ください。
※弁護士は、セミナーにご参加いただいた方のお名前を含め、個人情報を保有しておりません。そのため、当事務所へお問い合わせいただく際は、セミナー参加者である旨お知らせいただけると助かります。